文殺ゾンビの戯言

 

こんにちは。文殺ゾンビです。

 

 

8月30日昼の部(濱野さん益山さん小松さん回)の「文豪、そして殺人鬼」で初めて文殺の世界に触れたオタクです。普段は小松さんを応援しています。

 

文殺を見てみようと思った理由は、あまりにもまわりに文殺ゾンビが多かったからです。記憶を消してもう一度初見を味わいたいと嘆くフォロワー、公演が終わって速攻でクリームソーダをキメるフォロワー……

何故そんなにも囚われているのか、その理由を解明するべく私はアマゾンの奥地へ向かった──

 

それは冗談ですが、「クリームソーダが出てくる」ということ以外はネタバレを踏むことなく、いざ開演。

 

 

備忘録のためにまずは時系列でざっくりあらすじ

 

過去

朱知と菅さんが自転車でぶつかる→朱知が弱視に→菅さん責任感じて祖父母の家に引っ越し

 

現在

朱知と菅さん繁華街で尺さんと出会う→3人で焼肉→朱知の家族尺さんに殺される→一糸家葬式→菅さん、朱知入水自殺

 

 

登場人物

 

菅忠義(益山武明

ミステリー小説家。東大卒。

 

一糸朱知(小松昌平)

弱視の少年。米農家を営む大家族の一員。

 

尺光輝(濱野大輝

フリーの事件記者。弱肉強食の世界で育つ。

 

 

 

感想

 

いや〜〜〜〜〜〜〜泣いた。感情移入しすぎて苦しい。辛い。これからクリームソーダと蓮と焼肉を見て想いを馳せる体になってしまった。

 

菅さんと朱知のすれ違いがしんどい。

菅さんはあの日からずっと罪の意識が拭えなくて、最初は慈悲で朱知と接していた。だけど時間を共にするうちに情が深くなって離れたくなくなったんだ…

朱知は菅さんに「大丈夫か?」って言われたその瞬間からもう恩を感じてたんだなあ…引っ越してきたときも蓮として話してくれたときも相当嬉しかったんじゃないの…

 

「死ぬ理由と生きる理由は同じ」

2人はお互いのために生きていたし、どちらかが欠けたら生きづらくなる

お互いがお互いを救って、お互いがお互いを殺した

 

共依存…………この関係性…………ヒイ…………

 

 

それに対して尺さんは出で立ちから生きる理由も死ぬ理由もない。ただただ自分が生きるために人を殺してきた。

 

この設定だけ見ると人の心がない殺人鬼みたいだけど、私はそんなことないと思ってる。実際朱知のこと殺そうと思えばいつでも殺せたわけだし。

 

ではなぜ朱知のことを殺さなかったのか。

いや、殺せなかった。

 

朱知が懐いてくれたのがやっぱり嬉しかったんじゃないか。

お互い家族がいない1人の存在。ただ決定的に違うのが菅さんの存在。

朱知には菅さんがいたから呼吸ができている。

でも尺さんにはいない。人を殺すことでなんとか生きている。

 

尺さんにもそんな存在がいれば………

 

 

 

そして3人それぞれの演技が解釈を深める手助けになった。

 

益山さんの菅さんは、罪を抱えて生きている感じが辛かった。それ故に過保護。

朱知の家族が亡くなってから、彼にかける言葉の声色に優しさを感じた。すごい人間味ある。

 

小松さんの朱知はめちゃめちゃにかわいい。焼肉のシーンでお腹いっぱいになった。ごちそうさまでした。

というか方言キャラなんて聞いてなかったから第一声から驚いたし万物に感謝した。ありがとうございます。

菅さんがいないと生きづらいって独白するの、見てて胸がぎゅっとなった。手を触れたら壊れそうな脆さがあった。

 

濱野さんの尺さんは飄々としてた。喜怒哀楽がないというより心の内を誰にも明かさない感じ。

人を殺すことに対して罪悪感なんてあるわけないでしょって呆れたように笑って言うのゾッとした。

 

 

 

 

演技と同様、脚本が素晴らしかった。

 

まず冒頭にノックスの十戒を提示することで、暗に犯人はこの中の誰かだってもう言ってたんだ。もうすごい。

 

シリアスと日常の織り交ぜ方が本当に素晴らしくて、飽きることなく最後まで楽しめた。

アドリブおもしろかったなあ…タンさん……

 

そしてこの脚本のおもしろいところはやっぱり朱知の視力を奪ったのが菅さんだってことかな…お互い秘密を隠しながらも長年平和に生きてきたところに、第三者である尺さんと出会うことで物語が動き出す。

 

終わり方も私たちに委ねられている気がした。2人は亡くなったのかもしれないけど向こうの世界ではどうなるの。尺さんはこの後も殺人を続けるの。それは誰にもわからない。

 

私はあのラスト、救いだと思う。

どうあがいても2人は2人としか生きられないし、尺さんもそんな2人を見てなにかしら感じるものはあると思うから。

 

 

 

 

 

長々と書きましたが、すべて私の解釈です。この公演のみを一度しか見ていないので、他のキャストの方々と比べることはできません。間違っているところもあるかもしれません。ただ、この一度目を深く噛みしめたくて書きました。

 

 

彼らに救いの手が差し伸べられますように。